DIARY
日記

ゆりの雑学

ゆりについて

日本の書物にゆりが現れるのは『古事記』(712年)が最初とされています。この中で、神武天皇が狭井河のほとりで三輪の七乙女の1人「秘めたいらいすずひめのみこと」に会われ、ロマンスの花が咲いたと書かれています。

一般に用いられている「百合」は漢字で、中国の薬物について本に載っています。字の語源は鱗片が重なり合う形を表現したものです。日本では、「百合」が一般にゆり全体をさす言葉として用いられ、中国でも同様です。欧米では全てラテン語のりリウムから変わったもので、ケルト語の「リ=白い」から出ています。英語ではリリー、仏語ではリ-、独語ではリーリェ、ギリシャ語ではリリオン、中国語ではパイホと発音し、満州語ではパイヘ、琉球語ではユイといいます。

ゆりは、東洋では薬用・食用として栽培されてきたが、日本ではその記録はありません。観賞用としては、室町時代のはじめから押し花が行なわれるようになり、スカシユリやヒメユリの栽培が行なわれ、江戸時代になるとスカシユリの園芸品種が生じ、鉢植え栽培も行なわれています。

西洋での主なゆりはマドンナリリーで、有史以前から栽培され、宗教とのかかわりから人との結びつきが進んでいました。薬用としても、鱗片をつぶしたものを軟膏として、魚の目ややけどの治療薬として使われています。

西欧において、マドンナユリに変わって最初にシーボルトによって利用されてきたのは、琉球列島原産のテッポウユリであるといわれています。それ以降、日本から大量 に輸出され、現在ではオランダ・アメリカにおいての球根生産が盛んに行なわれています。

日本のユリの歴史

昔から、日本には美しいユリの自生地が非常に豊かであったので、ユリの栽培記録はほとんどありませんでした。どちらかといえば観賞用ではなく、救荒植物としてヤマユリやオニユリ、コオニユリが食用として用いられました。観賞用として用いられるのは、室町時代に入ってからでスカシユリ、ヒメユリが茶の湯や、挿し花等に用いられていました。江戸時代に入ってからは、庶民が庭先の鉢植えとして楽しんだようです。 明治頃には、海外でユリが注目されたのをきっかけに、営利目的の花卉生産がはじまりました。大正の半ばからは、温室で切り花を目的に栽培するようになりました。

西洋のユリの歴史

西洋のユリ歴史はマドンナ・リリーから始まりますが、その名が現れたのは、19世紀の後半でそれまでは「白ユリ」と呼ばれていましたが、他の白いユリと区別 する必要が生じたからです。もっとも美しい花であると同時に「神聖な植物」としてローマ法王の庭にも植えられていました。美しいだけではなく薬用植物としてもその価値は広く認められていました。 このように、マドンナ・リリーの花は、ヨーロッパにおいては、もっとも親しみのある植物として扱われてきたわけです。

伝説(フランス)

女性も快楽も退けて、清い生活を送る騎士がいました。ある春の晴れた日に、彼は真っ白な衣装をつけ、ユリの花を手にした美しい貴婦人に出会いました。その貴婦人が「あなたに本当の幸せを差し上げるために来ました。どうぞ私をお連れ下さい。ただし、私がそばにいる間は、死という言葉を使わないで下さい」というので、騎士は大喜びで誓いを立て、城に連れ帰り妻にしまし た。クリスマスの夜のことでした。お祝いのため城に集まった人々はおおいに酒を交わし、やがてだれかが竪琴をはじめ、恋や冒険の歌い始めました。 そこで騎士も立ち上がり、天国の美しさや、死後そこへ昇る幸せを歌いました。するとそばにいたに妻はたおれて、騎士の腕の中で一輪の白いユリになってしまいました。騎士は絶望のあまり白い雪が降りしきる闇の中へと消えていきました。

おいしいユリの球根

ユリの球根を食用にするのは日本、中国、蒙古、旧満州およびシベリア の一部で、欧米人はほとんど料理には使いません。食用に向く種類とし ては苦味が少なく、りん片は多肉で色は白いほどいいです。これらの点でオニユリ、コオニユリ、ヤマユリ、サクユリ、ハカタユリ、タケシマ ユリ、が適しています。地方によって野生が多い場合は、ササユリ、オ トメユリ、イワトユリ、エゾスカシユリ、クルマユリなども用いられます。ユリのりん片は栄養価も高いので、昔から滋養強壮に効果があると いわれています。現在では比較的高級な料理に使われています。

ユリの料理方法

料理方法には、丸煮と一葉煮があります。丸煮はコオニユリやイワトユ リ、タツタユリ、スカシユリなどの小型の球根を使います。一葉煮は、ヤマユリ、オニユリ、ハカタユリなど大型のりん片を1枚ずつ剥がして使います。

丸煮は、はじめ強火で水煮をして沸騰したら火からおろしてよく水気を切ります。次に、煮汁が充分しみ込むように球根を逆さにして鍋にいれます。鍋に砂糖、しょうゆ、ミリンを加え、強火で煮ます。沸騰したら弱火にし、味がしみ込んだら火を止めます。10分程蒸らしてから皿に盛り付けできあがり。

一葉煮は、いったん茹でてから調理します。天ぷら、茶碗蒸し、和え物みそ汁の実、くりご飯のようにご飯に炊き込んだり、粥に入れてもおいしいでしょう。

資料提供:春江町食生活改善推進員連絡協議会

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